Goの勉強のため、普段からお世話になっているmotemen/ghqを読むことにした。なお、現在の僕のGoの知識はgotourを完走した程度だ。最初から現在のコミットを追いかけるのは骨が折れそうだったので、最初のコミットbad21c7df65ccefd74530d6fcc5f0707b63e0266
から読むことにした。
Goのプログラムはmain
パッケージのmain()
から実行されるため、main.go
のmain()
から読む。
import {
// ...
"github.com/codegangsta/cli"
}
func main() {
app := cli.NewApp()
app.Name = "ghq"
app.Usage = "Manage GitHub repository clones"
app.Version = "0.1.0"
app.Author = "motemen"
app.Email = "motemen@gmail.com"
app.Commands = []cli.Command{
{
Name: "get",
Usage: "Clone/sync with a remote repository",
Action: CommandGet,
},
{
Name: "list",
Usage: "List local repositories",
Action: CommandList,
Flags: []cli.Flag{
cli.BoolFlag{"exact, e", "Exact match"}
}
}
}
app.Run(os.Args)
}
cli
パッケージはcodegangsta/cliというコマンドを簡単に作成するライブラリのもののようだ。cli.NewApp()
は*cli.App
(構造体App
のポインタ)を返している。この構造体はCLIアプリケーションを表している。これに続くコードはそのCLIアプリケーションの情報を設定している。app.Commands
というフィールドにはcli.Command
型のスライスが入る。cli.Command
型はCLIアプリケーションのサブコマンドを定義するために使われる。サブコマンドの名前、ドキュメント、フラグなどを設定し実際に実行される関数を指定することができる。実行される関数はAction
というフィールドに指定する。このフィールドはfunc(context *Context)
という型になっている。ここでは、get
とlist
というサブコマンドが定義されており、それぞれCommandGet
,CommandList
という関数が実行されるように設定されている。- 最後に
app.Run()
でコマンドライン引数を受け取ってCLIアプリケーションを実行している。
とりあえずget
サブコマンドを理解したいので、CommandGet
を見ていく。
func CommandGet(c *cli.Context) {
argUrl := c.Args().Get(0)
if argUrl == "" {
cli.ShowCommandHelp(c, "get")
os.Exit(1)
}
// ...
}
- 上述の通り、
Command.Action
はfunc(context *Context)
という型なので、CommandGet
関数もそれに従っている。 cli.Context.Args()
はcli.Args
型を返すが、これはtype Args []string
と定義されており、実体はstring
のスライスだ。Args.Get(n int)
はn
がスライスのサイズより大きかった場合に空文字を返すようになっている。ShowCommandHelp
はContext
ポインタとサブコマンドを表す文字列を渡すことで、そのサブコマンドのヘルプメッセージを出力する。- 第1引数をURLとして取得し、それが空であればヘルプメッセージを表示するようになっている。
func CommandGet(c *cli.Context) {
// ...
u, err := ParseGithubURL(argUrl)
if err != nil {
log.Fatalf("While parsing URL: %s", err)
}
path := pathForRepository(u)
if err != nil {
log.Fatalf("Could not obtain path for repository %s: %s", u, err)
}
// ...
}
ParseGithubURL()
とpathForRepository()
いう関数についてはあとで見ていくことにする。- エラーがあった場合、
log.Fatalf
関数でエラーメッセージを表示するものと思われる。log
パッケージはGoの標準パッケージで、log.Fatalf
関数はエラーメッセージを表示するだけでなくexit(1)
によってプログラムを異常終了させる。
func CommandGet(c *cli.Context) {
// ...
newPath := false
_, err := os.Stat(path)
if err != nil {
if os.IsNotExist(err) {
newPath = true
err = nil
}
mustBeOkay(err)
}
// ...
}
os.Stat
関数はファイルの存在をチェックする際によく用いられるようだ。この関数は指定したパスにあるファイルの情報を表すFileInfo
構造体と、エラー時にはエラーを返す。os.IsNotExist()
関数も存在チェックを行うように見える。ファイルの存在をチェックするGoの実装は諸説あるようだ。mustBeOkay()
関数は定義を見てみると、引数の渡したエラーが存在すればエラーメッセージを表示して異常終了させるようだ。アサーションのような役割を果たしているようだ。- ファイルパスが存在しない場合は
newPath
がtrue
になる。また、err
がnil
になるため、mustBeOkay()
で異常終了は起きなくなる。
func CommandGet(c *cli.Context) {
// ...
if newPath {
dir, _ := filepath.Split(path)
mustBeOkay(os.MkdirAll(dir, 0755))
Git("clone", u.String(), path)
} else {
mustBeOkay(os.Chdir(path))
Git("remote", "update")
}
}
filepath.Split()
は与えられたパスをディレクトリとファイル名に分け、ディレクトリ、ファイル名の順に返す。Git()
関数はあとで詳しく見る。newPath
がtrue
になるのは上述の通りpath
が存在しない場合で、このときはgit clone
が行われ、そうでなければgit remote update
が行われるようだ。
ghq get
コマンドの全体像についておおまかに理解できたので、飛ばした関数について1つずつ読んでいく。
type GitHubURL struct {
*url.URL
User string
Repo string
}
func ParseGitHubURL(urlString string) (*GitHubURL, error) {
u, err := url.Parse(urlString)
if err != nil {
return nil, err
}
if !u.IsAbs() {
u.Scheme = "https"
u.Host = "github.com"
if u.Path[0] != '/' {
u.Path = '/' + u.Path
}
}
if u.Host != "github.com" {
return nil, fmt.Errorf("URL is not of github.com: %s", u)
}
components := strings.Split(u.Path, "/")
if len(components) < 3 {
return nil, fmt.Errorf("URL does not contain user and repo: %s %v", u, components)
}
user, repo := components[1], components[2]
return &GitHubURL{u, user, repo}, nil
}
url.Parse()
は与えられた文字列をパースしてURL
構造体のポインタと失敗した場合はerror
を返す。URL
構造体はScheme
やHost
といったフィールドを持っているため、相対パスであればこれらを設定している。fmt.Errorf()
はフォーマット化された文字列からエラー値を返す。strings.Split()
は文字列を第2引数で渡されたセパレータで分解しstring
のスライスとして返す。
続いてpathForRepository()
関数を読んでいく。
func reposRoot() string {
reposRoot, err := GitConfig("ghq.root")
mustBeOkay(err)
if reposRoot == "" {
usr, err := user.Current()
mustBeOkay(err)
reposRoot = path.Join(usr.HomeDir, ".ghq", "repos")
}
return reposRoot
}
func pathForRepository(u *GitHubURL) string {
return path.Join(reposRoot(), "@"+u.User, u.Repo)
}
path.Join
はパスの要素を/
で結合してパスにする。GitConfig()
は後ほど読んでいく。おそらくリポジトリのルートパスを返すものと思われる。reposRoot
が空であれば$HOME/.ghq/repos
を返すようになっている。user.Current()
はカレントユーザーを表すUser
構造体のポインタを返す。User
構造体はユーザー名やホームディレクトリなどの情報を持っている。usr.HomeDir
でホームディレクトリを取得している。
続いてGit()
関数を読んでいく。
func Git(command ...string) {
log.Printf("Running 'git %s'\n", strings.Join(command, " "))
cmd := exec.Command("git", command...)
cmd.Stdout = os.Stdout
cmd.Stderr = os.Stderr
err := cmd.Run()
if err != nil {
log.Fatalf("git %s: %s", strings.Join(command, " "), err)
}
}
...string
のように引数の型名の前に...
をつけると可変長引数をとることができる。この引数の型は型名で指定した型のスライスとなる。つまりここではstring
のスライスとなる。fmt.Printf()
関数は標準出力に出力するものだが、log.Printf
はロガーで指定された出力先に出力する点が異なる。exec.Command()
関数は、第1引数で指定された名前のコマンドを渡された可変長引数で実行するコマンドを表すCmd
構造体のポインタを返す。...
で渡された可変長引数は上述の通りスライスなのだけど、スライスを展開して可変長引数として関数に渡す場合はcommand...
のようにスライスのあとに...
とつける。cmd.Run
で指定されたコマンドを実行する。
続いてGitConfig()
関数を読んでいく。
func GitConfig(key string) (string, error) {
defaultValue := ""
cmd := exec.Command("git", "config", "--path", "--null", "--get", key)
cmd.Stderr = os.Stderr
buf, err := cmd.Output()
if exitError, ok := err.(*exec.ExitError); ok {
if waitStatus, ok := exitError.Sys().(syscall.WaitStatus); ok {
if waitStatus.ExitStatus() == 1 {
return defaultValue, nil
} else {
return "", err
}
} else {
return "", err
}
}
return strings.TrimRight(string(buf), "\000"), nil
}
cmd.Output()
関数はコマンドを実行して標準出力を返す。err.(*exec.ExitError)
というのは型アサーションという文法だそうだ。err
はerror
インターフェイス型で、これが*exec.ExitError
型の値であると断定する。変換された値が第1返り値、変換に成功したかどうかが第2返り値になる。- ここらへんでやっていることは終了ステータスを取得しようとしている。
strings.TrimRight()
関数は第2引数を削除したstring
スライスを返す。