状況
Webアプリケーションの開発環境でコンテナを使っている場合、MySQLなどのデータベースもコンテナで起動し、Docker Composeで管理することが多いと思う。
問題
テーブルの作成やシードデータの追加といったセットアップ手順は、例えばRailsであればdb:migrate
やdb:seed
のような便利コマンドによって行われるが、そうした追加のセットアップ手順は可能な限り省略したい。
解決
公式のMySQLコンテナはコンテナの初回起動時に任意のSQLを実行する仕組みがあるため、これを使ってコンテナの起動時に必要なセットアップをすべて終わらせることができる。
以下のようなディレクトリを例にとる。
database
├── Dockerfile
├── docker-entrypoint-initdb.d
│ ├── 1_schema.sql
│ └── 2_seed.sql
├── mysqld.cnf
└── seed
├── statuses.csv
└── tasks.csv
Dockerfile
はこうなっている。
FROM mysql:8
ADD mysqld.cnf /etc/mysql/conf.d/
ADD docker-entrypoint-initdb.d /docker-entrypoint-initdb.d/
ADD seed /seed/
/etc/mysql/conf.d/
以下に設定ファイルを配置するとincludeされるようになっている。/docker-entrypoint-initdb.d/
ディレクトリ以下に配置した*.sql
や*.sh
といったファイルは初回起動時に実行される。- この例では、
1_schema.sql
でテーブルが作成され、2_seed.sql
でシードデータが作成されるようになっている。番号をprefixにつけることで実行順を制御している。
シードデータの作成は以下のように行っている。
LOAD DATA INFILE '/seed/statuses.csv' INTO TABLE statuses FIELDS TERMINATED BY ',' ENCLOSED BY '"';
LOAD DATA INFILE '/seed/tasks.csv' INTO TABLE tasks FIELDS TERMINATED BY ',' ENCLOSED BY '"';
ちなみにシードデータはこんな感じ。ヘッダーはつけられなさそうだった。
1,TODO,1
2,DOING,2
3,DONE,3
LOAD DATA INFILE
を使ってコンテナ内のCSVファイルからデータを作成しているんだけど、これを行うには設定を追加する必要がある。そのため、以下のようなmysqld.cnf
を/etc/mysql/conf.d/
以下に配置している。
[mysqld]
secure-file-priv = ""
以上のようなカスタムイメージを作ることで初回起動時に必要なセットアップがすべて完了した状態で起動できるようになる。