▲5四歩が突ける条件
2024-01-02#先手中飛車
超速から銀対抗の形になったとき、▲5四歩から歩交換を入れられるかによってその後の方針が大きく変わってくる。もし歩交換が入れば、6六の銀を▲5五銀と活用して、△同銀、▲同角と角をさばいたり、5筋を飛車と銀で攻めたり、4四の地点を角と銀で攻めるといったバリエーションが生まれ、気持ちよく攻めていくことができる。歩交換ができないとなると、逆に居飛車側から5五の歩を狙われる展開になりやすいし、手厚い5筋を避けて7筋から攻めるといった方針にシフトする必要がある。
結論
長くなりそうなので先に結論をまとめておく。
- ▲5四歩、△同歩、▲同飛から△3四歩が取れる場合は▲5四歩が突ける。
- 二枚銀急戦の場合、△7三桂+△9三歩の形であれば▲5四歩が突ける。△5五歩で飛車がつかまっても▲7五歩と▲9五角から反撃することができる。
- さらに二枚銀急戦の場合、△9四歩から△7三桂の形になると▲5四歩が突けないため、こちらも▲6六銀+▲5六銀の二枚銀で対抗する。
早めの仕掛け
まずは二枚銀急戦になる前に▲5四歩が突けるかどうかを調べる。
△4二銀
3四の歩にひもがついていないので、△5五歩と打たれても▲3四飛で飛車がつかまっていない。よって、この時点では▲5四歩が突ける。
居飛車は▲3四飛と取られてはまずいので、▲4四歩と突く一手だと思う。こうなると、△4四銀からの二枚銀急戦の形にならないため、△4三銀から雁木に組んで持久戦模様になりそう。
△3三銀
3三に銀が上がっていると今度は▲3四飛と取れないため、△5五歩で飛車がつかまっている。ここから金か銀と交換することになるが、中飛車としては失敗で劣勢と言えそう。
△4四歩
4四の歩が上がっている場合も▲3四飛と取れないため、△5五歩で飛車がつかまってしまい、中飛車が失敗と言える。
二枚銀急戦に対する仕掛け
△4四銀と二枚銀急戦の形になった場合にも▲5四歩が突けるのか調べていく。
△8一桂
居飛車の右桂が動いていない状態で突くと、後述する筋が使えず▲3四飛とかわすこともできないため、飛車がつかまってしまう。
▲5六歩と合わせて飛車の逃げ道を作ろうとしても相手にされず、金で詰まされてしまう。
△7三桂+△9三歩
右桂が7三に跳ねている場合、△5五歩で飛車がつかまっても▲7五歩から反撃することができる。△同歩だと▲7四歩とされてしまうため、△6五桂と跳ねる。
このときに△9三歩型であると、▲9五角と飛び出す幽霊角の筋があり、飛車を切ってから▲7三角成と馬を作ることができる。
飛車と銀の交換で駒損しているものの、居飛車の飛車・角がまだ働いておらず▲6五馬から桂もとれそうなので、先手が優勢と言えそうだ。
△7三桂+△9四歩
居飛車側も工夫して△9四歩を入れてから△7三桂と跳ねたらどうなるだろうか。
やはり△6五桂に対して△6八角と引くしかなく、飛車を活用する手立てがないため、これも中飛車が失敗と言える。
この形では、▲5四歩ではなく▲5六銀と上がってこちらも二枚銀の形を作るのが定跡で、居飛車側からの攻めがない。よって、居飛車が△9四歩を省略して桂馬を跳ねたら▲5四歩を突くし、△9四歩が入ったらそのスキにこちらも二枚銀の体制を築くというのが中飛車側の二枚銀急戦に対する大きな方針と言えそうだ。